新国立劇場 『ばらの騎士』
2017-12-06


今日(12月6日)は二国で『ばらの騎士』を見てきました。舞台写真はこちら[LINK]。 スタッフ&キャストはここ[LINK]

ジョナサン・ミラー演出の美しい舞台は2年ぶり4回目の上演です。確か2011年は震災直後で指揮者始め主要キャストがキャンセルして、ほぼ日本人だけの公演でかなりの成果を見せてくれました。今回の上演では前回2015年にオクタヴィアンを歌ったステファニー・アタナソフ、オックスのユルゲン・リンが同じ役で登場。元帥夫人には二国ですっかりお馴染みのリカルダ・メルベート、ゾフィーはこの数年一気にスターダムにのし上がった感のあるゴルダ・シュルツが二国初登場。

メルベートはワーグナー歌手のイメージが強いですが、元帥夫人の憂いを帯びた叙情も見事に表現していたんじゃないでしょうか。このオペラのもう1つのテーマである「老い」、これは顔かたちやメークで表現できるものじゃないわけで、もちろん歌や仕草でさりげなく表さなければいけないものですが、その憂いの表情が声にも十分に反映して見事なマルシャリンでした。大詰めのトリオで両脇にオクタヴィアンとゾフィーを従えてさりげなくあきらめの境地を歌う表情、なかなか堂に入っていました。

このオペラ、モーツァルトの『フィガロの結婚』と並んで、宝塚少女歌劇の雰囲気が芬々と漂ってきます。まず男の主人公オクタヴィアンはメゾ・ソプラノが男装して歌う。そして劇中で(心ならずも)女装せざるを得なくなる。このあたりの倒錯性ってのが見ていて面白いところで、役者がいいとゲラゲラと笑いを取れる部分なんですが、ステファニー・アタナソフって人はなかなか表情や仕草が見事。もともとプラチナブロンドの髪に黒い眉毛っていう、少女歌劇の役者がいくら塗りたくっても追いつかない容姿をもっているんですが、それに加えてきりっとした表情、でれっとした仕草、どんな場面でもすばらしい芝居を見せてくれます。

もう一人の若き主人公ゴルダ・シュルツはすっきりとした歌い口ながら、他人に流されない芯の強い娘を演じていました。第3幕で元帥夫人が去った後のオクタヴィアンとのデュエット、天国的に美しかった。これからが楽しみなソプラノだと思います。

東フィルもいつもに増して艶のある音楽を奏でていました。ホルンを始め金管は絶好調。木管の音色の美しさも特筆されるべき。特に第1幕、朝食の場面で流れるモーツァルトそのものって感じのメヌエット風ワルツ、いやあホントにウィーンのディヴェルティメントって感じでした。その後もどこを切り取っても流れ出すワルツの美しさ。弦の艶やかな響きがすばらしかった。指揮のシルマー始め、ピットの面々はいい仕事をしていました。

オックス男爵のユルゲン・リンはこの役ですでに定評のある人。今回も存分に聞かせて、そして見せてくれました。もう一つ地味な役だけどファーニナルのクレメンス・ウンターライナーって人、多分初めて聞いたんだと思いますが、いい声ですねぇ。立ち姿も美しい。オックスよりもファーニナルの方がよほど優雅で貴族らしい、そんな役どころにぴったりでした。もちろんいつも通り二国の合唱団もすばらしかったよ。



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