読響+ガブリエラ・モンテーロでラフマニノフのピアノコンチェルト第2番
2018-04-29


今日(4月29日)は池袋の芸術劇場で読響を聞いてきました。メインはガブリエラ・モンテーロをソリストに迎えての、ラフマニノフの2番コンチェルト。冒頭のピアノソロ、ゆっくりと大きな弧を描くかのように悠然とした歩みで弾き始めます。たぶん手は大きくないんでしょう。和音はアルペッジョになりますが、美しくも力強い低音が響き渡ります。ん、これは、と思った瞬間、オケが耳を聾する音で入ってきました。指揮者が…指揮者が… 何とかしてくれよ。14型のオケを目一杯鳴らして、ピアノをつぶしにかかります。これは、これは、セクハラか、パワハラか、はたまた単なる営業妨害? つぶされてなるモノかとばかりにピアノも音を張り上げる、で、確かに目一杯鳴らすオケを突き抜けてピアノを響かせるだけの腕力がこの女流にはあるのですよ。丁々発止というよりは馬鹿馬鹿しい意地の張り合い。というか、これが指揮者(アジス・ショハキモフという人)の能力なのかな、あるいは経験のなさを露呈していたのかな。タイミングはきれいに合わせているんだけど、オケとピアノのバランスがまるで取れていない。

モンテーロのピアノは最初ベルベットのように滑らかで艶のある低音に惹きつけられたんですが、オケと張り合ってピアノを叩いているうちに調子が出てきたのか、中音から高音にかけての煌めくような音色と粒立ちがくっきりと立ち現れ、それはそれはめくるめくピアニズムの世界が展開されました。第2楽章冒頭のリリシズム、第3楽章の壮大なクライマックス。オケのつまらなさを補って余りあるピアノでした。アンコールはお得意の即興演奏。お客さんに何か日本のメロディーを教えてくれってリクエストしてましたが、そんなのに応える人がいるかな? と思ったら、かなり年配の爺さんが立ち上がって滝廉太郎の「花」をとてつもなく調子っ外れに歌い出しました。ピアノのお姐さん暫し頭をひねっていましたが、爺さんのすぐ近くのおばさんがよく通る声でもう一度、これもかなり変な調子で・・・まあ、そんなこんなでコンマスだか内側のヒトだかが聞き取って、ヴァイオリンで音頭を取ってやったらやっと理解したみたいでした。「春のうららの隅田川」までのメロディをしばらくピアノでさらいながら考えて、弾き始めたのが「花」のメロディーを使ったみごとな2声のインヴェンション。2声別々のフレーズをぴったり合わせているかと思えば、ストレッタあり、メロディーの反行形あり、リズムの変化、転調の妙。ソプラノのメロディーとパラフレーズに対して、常に対旋律が呼応してみごとな演奏でした。

前半の1曲目はムソルグスキー(リムスキー=コルサコフ編曲)の「はげ山の一夜」。ちょうど5月1日のメーデーにちなんだヴァルプルギスの夜(魔女の集会)の曲。これはちょっと指揮者が考えすぎ。曲の持つ原始的なエネルギーはどこに行っちゃったんだろう? 後半はチャイコフスキーの交響曲第5番。これはオケを目一杯鳴らしていました。第2楽章のホルンうまかったねぇ。


ところで、音楽会とは全く関係ない話題ですが、帰りがけにホールのロビーでこんなののデモをやっていました。なかなか便利そうだ。近頃、譜面台にiPadを乗せて弾いている演奏家を見かけますが、こちらは軽くて薄くて、ガラスやプラスティックを使っていないので映り込みがないそうです。ただしお値段は18万円なり。


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