『アンナ・カレーニナ』は日本人のダンサーも入って2回(2010年3月、2012年3月)二国でやった演目ですが、あの時は中ホールという小さな箱だったので、多分それなりの簡素な装置だったんじゃないかと思います。今回は文化会館ということもあってかなり豪華なしつらえ。演出も多少変化していました。
あまりにも有名なトルストイの小説をバレエにしたもの。これはいろんな人がバレエに仕立てています。エイフマンの場合は、小説をかなり大胆に刈り込んで、三角関係のドラマにしています。ただし『ロダン』とは逆に男が二人、女が一人。カレーニンの妻アンナは青年将校ヴロンスキーと出会い恋に落ちる。カレーニンは世間体を重んじて離婚に応じない。アンナはヴロンスキーと駆け落ち。その後ペテルブルクに戻ったアンナは社交界からは拒絶され、夫の元にいる一人息子とも切り離される。居場所のなくなったアンナは汽車に身を投げる。
様々なエピソードが踊られますが、『ロダン』とは異なりこちらは元の小説がありますから、カレーニンとアンナの心の行き違い、ヴロンスキーとの熱烈な恋愛、恋の逃避行・・・ストリーの展開はスムーズに進みます。夫とのデュエットの場面では、次第に心が離れていくアンナの心情は、「嫌だ、嫌だよ、こんな男」といったセリフが聞き取れそうなくらい、体の重みとなって表現されます。ヴロンスキーとの邂逅では、心ウキウキ軽やかなステップになります。心情を肉体で表現することにかけては、エイフマンの振り付けと、バレエダンサーの技量はピカイチ。
主役3人の中では最も若いアンナ役のダリア・レズニクという人がみごとでした。2016年にワガノワ・バレエ学校卒業だそうで、まだ21歳とかそんな若さですが、子持ちの人妻の役をみごとに踊りで表現していたと思います。カレーニンのセルゲイ・ヴォロブーエフは2010年の上演でも踊っていた人だと思います。ベテランですね。派手さはないけど、謹厳実直な世間体を重んじる官僚の役柄をさりげなく演じていました。ヴロンスキーのイーゴリ・スポーチンという人はどうなんだろう、情熱に突き動かされる青年将校って役どころなんですが、派手でもなく地味でもなく、性格の作り方がちょっと曖昧だったかなぁ。
群舞はみごと。後半冒頭ヴェネツィアの謝肉祭の群舞、ペテルブルクに帰ってきた社交界のダンスシーンなど見所満載。あの人数で悲愴の第3楽章のスケルツォを踊りまくるところは素晴らしかったですねぇ。そして幕切れの汽車の群舞。舞台狭しと並んだダンサー全員が蒸気機関の動力となり、ピストンとなり。動輪となり、機関車そのものとなる。あの迫力はさすが。そして濃いスモークのなか、アンナが身を投げる。この舞台の一番の見所でした。
アンナ・カレーニナの公式トレーラー(きれいな画質です)
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