12/5 N響定期@東京芸術劇場
2021-12-06


昨日は池袋の芸術劇場でN響の定期演奏会を聞いてきました。オミクロン株の影響で、都内の演奏会は指揮者、ソリストの変更が相次いでいますが、この日振ったガエタノ・デスピノーサという人も、どこからかスライドしてこの日の演奏に合わせたみたい。聞くところによると、年末餅代稼ぎの第九もあっちこっちのオケで指揮者・ソリストの変更が大変らしい。

まず最初にブラームスの『ハイドンの主題による変奏曲』。爽やかな管楽器のコラールで始まり、弦楽器がいかにもブラームスって感じの刻みを奏でて心地よい演奏。2曲目は小林海都という人のピアノで、バルトークのピアノコンチェルト第3番。初めて聞く名前ですが、まず特筆すべきはその音の美しさ。まだ二十歳代だと思いますが、非常に繊細な神経をもって演奏しているのがわかります。勢いで突っ走る演奏が横行する中、このように研ぎ澄まされた演奏は貴重かもしれません。ただしこの年代には次々と有望な新人が現れ、隅々まで神経が行き届いた丁寧な音楽をやっているという現実もあり、一世代上の演奏家達とは一線を画す頼もしい若手が育ってきている、そんな感じもする今日このごろでございます。

後半はシェーンベルクの『浄められた夜』。N響の実力を遺憾なく発揮した名演だったと思います。ロマン派の断末魔の叫びのようでもありますが、その一方で最後に向かって透明な響きを獲得していく、一服の清涼剤あるいはカタルシスを味わった感があります。

[音楽]

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